各プラットフォームに特化した内容に
ユービーアイソフトのカンファレンスで最後に発表された『MICHAEL JACKSON THE GAME』は衝撃的だった。「あのマイケル・ジャクソンがゲームになるのか!?」という驚きだけを残し、その詳細が明らかにされることはなかったが、E3会場をふらふらしながら取材していると、突然ユービーアイソフトの広報さんから連絡があった。『MICHAEL JACKSON THE GAME』の担当プロデューサーさんを取材できるという。もちろん、マイケル・ジャクソン好きの記者に否やはない。すべての取材をうっちゃって、ユービーアイソフトブースに急いだ。同作のプロデュースを担当するのは、フェリシア・ウイリアムズ氏。それにしても、『ゴーストリコン フューチャーソルジャー』のライターさんといい、『Your Shape： Fitness Evolved』のプロデューサーさんといい、ユービーアイソフトはゲーム開発への女性進出が進んでいるなあ……これも本社がフランスというお国柄なのだろうか……などと思いつつインタビューを敢行した。
――まずは開発をスタートした経緯を教えてください。
フェリシア ご存じの通り、マイケル・ジャクソンは偉大なアーティストです。シンガーでもありダンサーでもあり、パフォーマーでもある。マイケルをモチーフにしたゲームを昔から作りたかったのですが、テクノロジーがそこまで進化していなかった。ところがここへきてKinectを筆頭にいろいろな動きがでてきた。それで「いまがこのプロジェクトを始める時期だな！」と思い取り組むことにしたんです。
――マイケル・ジャクソンのゲーム化ということで、権利問題などの交渉ごとは煩雑ではなかったのですか？
フェリシア マイケルのゲームをどうしてもやりたいというユービーアイソフトの熱意があって、高い目標を据えていることを理解していただいたように思います。それで、「やりましょう」ということになったんです。我々も高い目標に到達すべくがんばっています。
――マイケル・ジャクソンには熱心なファンが多いと思いますが、ファンのイメージを壊さないために注力しているのでは？
フェリシア そのとおりです。“ファンが見て喜んでもらえるもの”と“マイケル本人が見ても喜んでもらえるであろう”という2点をつねに念頭において開発を進めています。そのため、マイケルの権利サイドの徹底的な監修を受けて、マイケルの動きを忠実に再現しています。『ビリー・ジーン』にしても、『今夜はビート・イット』にしても、マイケルがパフォーマンスをしたそのままの状態を再現しています。コスチュームをしっかりと再現するのはもちろん、舞台装置などもしっかりと再現しているんですよ。そのへんはマイケルファンの方に見ていただけば、「おお」と思っていただけると自負しています。
――ニンテンドーDS、PSP、Wii、プレイステーション3、Xbox 360という家庭用ゲーム機としてはフル展開になるわけですが、それぞれのゲーム性は異なる？
フェリシア マイケル・ジャクソンを謳ったゲームなので、マイケルの魅力にそれぞれ差がでないようにしています。そのほかの点では、次世代ゲーム機のよさや携帯ゲーム機のよさなどがありますから、それぞれのハードを活かした開発を進めています。
――各プラットフォームはそれぞれに内容が異なる？
フェリシア そうですね。でもコアの部分はいっしょです。どのハードのソフトで遊ばれても満足できるようにしています。とくにWii版については、非常にすばらしいゲームになると思います。『ジャストダンス』（日本未発売）の成功があるので、そこから学んだものを取り入れています。
――気になるKinect版についてはどうなるのですか？
フェリシア Kinect版については、ゲームの中にどっぷりと入って、マイケルになれるようになっています。マイケルのつもりでパフォーマンスができる。そして、“プレイヤープロジェクション”といって、アバターではなくて、自分自身がゲームの中に入り込んでいるかのような感覚があるわけです。このへんは『Your Shape： Fitness Evolved』のテクノロジーといっしょです。
――僕でも努力したらムーンウォークができるようになります？
フェリシア はい！ Kinectというマジックがありますから。
――Kinectの場合、音声認識の機能があるのですが、“歌う”や“掛け声をかける”といった機能なども実装されるのですか？
フェリシア そのへんはノーコメントで（笑）。ちなみにKinectに関しては“対応”ではなくて“専用”です。それだけKinectに特化した内容になるわけです。
――最後にこのゲームを心待ちにする日本のマイケルファンに向けてひと言お願いします。
フェリシア 『MICHAEL JACKSON THE GAME』はこの秋全ハードで発売予定です。ファンのみなさんにとってはファンタジーを満たしてくれるゲームになると思いますのでご期待を。
ゲームの詳細を明らかにするつもりが、謎の多いマイケルばりに謎の多いまま取材は終わってしまったわけだが、ここはE3で公開された2点の画面写真を見ながら、ゲームの完成に思いを馳せるのが、正しいマイケル・ジャクソンファンなのではないだろうか。そして、日本のマイケルファンは、日本でも『MICHAEL JACKSON THE GAME』が発売されるように嘆願しつつ、吉報を待つべし
