lightから、6月28日に発売されるPSP用ソフト『Dies irae ~Amantes amentes~(ディエス・イレ ~アマンテース アーメンテース~)』。その登場キャラクターたちを、4回にわたって紹介していく企画の第3回をお届けする。
本作は、美少女ゲームブランド・lightから2009年12月に発売された『Dies irae ~Acta est Fabula~(アクタ・エスト・ファーブラ)』のPSP移植作。現代日本を舞台に、主人公・藤井蓮と第三帝国の闇が生んだ超人たち“聖槍十三騎士団”の激しい戦いが描かれる学園伝奇バトルオペラアドベンチャーだ。PSP版では、これまで発表されたサイドストーリーすべてに大幅な加筆を行い、新たに収録。さらに、PC版で描かれなかったエンディングが追加され、物語はさらなる“未知”に到達するという。
電撃オンラインで展開している本作の特集ページ。その特集企画の一環として、登場キャラクターをシナリオライター・正田崇さんのコメントとともに紹介していく。連載第3回では、聖槍十三騎士団首領・ラインハルトやヴィルヘルムなど6人をピックアップ!
【ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ(CV:諏訪部 順一)】「――卿ら、私を失望させるな」
†Status
聖槍十三騎士団黒円卓第一位“愛すべからざる光(メフィスト・フェレス)”
身長?cm 体重?kg
†Profile
聖槍十三騎士団首領。もともとはドイツの高官だったが、あまりに有能すぎたため危険視されるようになる。後、彼は自身が暗殺されたと見せかけて闇に潜り、メルクリウスとともに騎士団を結成。配下の団員たちを戦争の裏で暗躍させ、敵といわず味方といわず滅ぼし続け、壊し続ける。彼の破壊工作はベルリン陥落時に頂点を迎えるが、その後は直属の部下3名とともに消息を絶ち、現在に至るも行方不明。
■正田崇さんのコメント
無敵、無双、どこまでも強く恐ろしく、そして高貴に優雅で格好よく。
それがラインハルト・ハイドリヒ。本作二大ボスの一角であり、紛れもない悪役ながらカリスマとして君臨する黄金の獣閣下。俺様の美声に酔いな諏訪部順一キングダムです。
とまあアホなノリから始まりましたが、作中のラインハルトにギャグ要素は一切ありませんからご心配なく。いやある意味、その存在自体が次元違いでギャグ同然と言えるのかもしれませんが、これで意外に人間臭いところがある人です。特に若かりしころはそれが顕著で、その当時の外伝エピソードなども含まれているので必見です。
彼は異様に強い。強すぎる。曰く、自分は生まれるべき世界を間違えたらしい。ゆえに己が存在するに相応しい世界を創造して流れ出させる。たとえそれが、余人にとっては息をすることすらできない地獄であっても……傲岸不遜(ごうがんふそん)な魔王の理屈ですが、そこにはラインハルトなりの情があり、愛があります。作中でグラズヘイムと呼ばれている彼の世界がどういうものか、ぜひ蓮たちとともに体験し、戦慄してください。
【トバルカイン(CV:安元 洋貴)】「…………」
†Status
聖槍十三騎士団黒円卓第二位“死を喰らう者(トバルカイン)”
身長210cm 体重125kg
†Profile
動く死体。意思のない殺人マシーン。幹部を除く8人の中では最強クラスの強さを誇るが、単体で機能することができず、使役される道具のような存在。聖遺物に喰われた人間の末路であり、彼の中に魂と呼べるものはひとかけらも存在しない。肉体が完全破壊されるまで動き続けるモンスター。
■正田崇さんのコメント
こいつについてはほぼノーコメント。いろんなネタバレの宝庫なので、下手なことは言えません。ただ属性として個人的に気に入っているのは、紛れもないパワーキャラなのにスピード面も作中屈指ということです。確か初期設定に、ブランカの動きをするザンギエフ……と書いてチームスタッフに笑われたのを覚えています。
「あらゆる悪も、あらゆる罪も、あらゆる鎖も我らを縛れず、あらゆる禁忌に意味はない」
†Status
聖槍十三騎士団黒円卓第三位“神を運ぶ者(クリストフ・ローエングリーン)”
身長192cm 体重77kg
†Profile
幹部不在の現騎士団において最高指揮権を持つ司令官であり、彼らが起こそうとしている儀式の祭祀を司る聖職者。聖戦に従軍する司祭のような存在のため、慈愛の使徒ではなく狂信の徒である。穏やかな笑みの下で冷酷非情な策を練り、配下の団員たちを指揮、煽動する。
■正田崇さんのコメント
変態神父。以上終了。
では物足りないのでもう少し付け足すと、まあトリファはいわゆる中ボスですね。三大隊長やラインハルトが出てくる前の、文字通り壁となる黒円卓の首領代行。実を言うと、自分が本作で一番気に入っているキャラだったりします。それは好きとか嫌いとかいう意味ではなく、トリファに関してだけは間違いなく100%以上のものを表現し切れたと自負しているから。
本当、この男だけは胸を張って「どうだ、こいつこそが俺の表現したかった変態だ!」と全世界に吼えても恥ずかしくありません。
外道で、策士で、だけど愚かで、そして哀れで……なのに紛れもない聖人であり、不思議と美しい殉教者。自分は彼にそんな印象を持っていますが、皆さんも本作をやり終えた後に同感であってくれたらうれしいです。
また成田さんの演技がいい感じに気持ち悪いんだよ、これが。
【ヴィルヘルム・エーレンブルグ(CV:谷山 紀章)】「名乗れよガキ、戦の作法も知らねえか」
†Status
聖槍十三騎士団黒円卓第四位“串刺し公(カズィクル・ベイ)”
身長182cm 体重73kg
†Profile
犯罪者あがりの経歴を持ち、悪名高き第36SS所属武装流弾隊、武装擲弾兵師団の元中尉。アルビノであり、日光をはじめとする光を忌む。反面、夜間になるとすべての感覚器官が増幅される吸血鬼のような体質の持ち主。本人もそれをアイデンティティにしているようで、称号からもわかるように吸血鬼じみた属性を好んでいる。
■正田崇さんのコメント
わかりやすいバトルジャンキー。同情、更生の余地がまったくない純な悪役。こういう奴って必要だよねってだけの理由でメンツに入れたキャラ、それがヴィルヘルム。ゆえに、こいつにはそれ以上の何もありません。なんか深い設定とか、物語上重要なポジションとか、原作者である自分が特別な思い入れを持っているとか、一切合切まったくない。端的に、脇役A。シナリオにかかわる意味の強さという点では、作中最弱に属するだろう存在です。
ゆえに、その中でこいつが何を思い、何を成したか。あらゆる意味で神の恩寵(おんちょう)から見放されたこの男が、皆さんにどれほどの衝撃を与え得るか……案外こういう奴こそが、もっとも自由に動き回れるキャラだったりするのです。
【イザーク(CV:生天目 仁美)】「父様……」
†Status
身長141cm 体重30kg
†Profile
初代ゾーネンキント。45年にベルリンを生贄にして、“城”と呼ばれるラインハルトの創造位階を永久展開させる法を施す。その20年後に死亡するが、彼の魂は“城”の心臓として文字通りの人柱となった。彼が存在する限りラインハルトは打倒できず、ラインハルトがいる限り彼は永劫に解放されない。リザの息子だが、父親は不明。他人を害する悪意や戦力といったものを持たないが、“城”そのものであるため、もっとも危険と言って構わない。
■正田崇さんのコメント
イザークは登場してくるのがかなり終盤なうえ、存在自体が重要なネタバレに直結するのであまり多くは語れません。ただ、本作の裏テーマである家族愛、そこに深く関わる奴だとだけ言っておきます。
聖槍十三騎士団の心臓であり、こいつがいないといろいろ破綻することが多い大事なキャラ。裏を返せば、こいつがいたから本作はこんな面倒くさいことになっているんだと言える存在でもあります。
ゆえに、自分は生まれてきてよかったのか? 仮に生まれたことに罪はなくても、では生んだ者の責任は? そういう問い掛けを、イザークは彼にかかわる者たちへ呪いのごとく振りまきますが、さて答えは……。
【ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン(CV:安元 洋貴)】「双方退け。ここでこれ以上の流血に意味はない」
†Status
聖槍十三騎士団幹部。黒円卓第七位“鋼鉄の腕(ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン)”
身長186cm 体重?
†Profile
武装親衛隊第一師団、親衛連隊にかつて所属。団内には公的に死んだとされている者も複数いるが、彼は本当に一度死んだことがあるらしく、ゆえに亡霊、呪われた者として同胞からも畏怖(いふ)されている。なお、死を経験した際に本名を失っており、ベルリッヒンゲンというのはあくまでも称号。近しい者数人からは“マキナ”と呼ばれているが、それも名ではないらしい。現在、ベルリン陥落時より行方不明。
■正田崇さんのコメント
圧倒的なカリスマボスにはそれに相応しい強力な部下がいなくてはならない。という理由で用意したラインハルトの側近その一。作中では黒騎士(ニグレド)と呼ばれる三大隊長の一角、ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン。異名が多いのも強キャラの条件ですね。面倒くさいと思う人は単にマキナとだけ覚えてください。
それで彼、マキナ卿。ラインハルトの側近ですが、別に忠誠なんか誓っていません。だけどラインハルトには絶対逆らえない身でもあります。そこらへんの諸々は本編で語るとして、とにかく彼をはじめとする大隊長三人、黒円卓の幹部である赤白黒の騎士が現れた瞬間から物語に遊びはなくなり、無理ゲー臭が跳ね上がります。こいつらが出たらもう洒落じゃすまないからね、というある種の区切りを象徴する存在なので、その笑っちゃうくらいの出鱈目(でたらめ)ぶりを楽しんでください。強いという設定のキャラを本当に強そうに描くっていうのは、当たり前だけどとても大事なことなのです。