物語の“体感”度がいっそう強化! スパイク・チュンソフトより2014年12月4日発売予定のニンテンドー3DS対応『進撃の巨人~人類最後の翼~CHAIN』。ドラマチックなストーリーと戦いが堪能できる本作ならではの魅力と、前作『進撃の巨人~人類最後の翼~』から新たに加わったポイントを紹介していこう。
●単なるパワーアップに留まらない充実の内容 本作は、2013年12月に発売された『進撃の巨人~人類最後の翼~』(ニンテンドー3DS)をベースに、新たな仕様を搭載したパワーアップパージョン。ただ単にシナリオやミッションを追加しただけではなく、待望のWi-Fiを介した協力プレイの実現や立体機動の新アクションといったゲームの根本的な部分にも及んでおり、前作のファンも納得の作りとなっている。なお、本作には有料のアップデートキットの配信もあり、これを購入すれば、前作からのアップデートが可能になる(2160円[税込])。新たに本作を購入する必要はないので、安心してほしい。ちなみに、前作のセーブデータは本作への引き継ぎも可能だ。
●巨人と人類の戦いを再現! 本作ではテレビアニメ『進撃の巨人』に基づいたふたつのモードで、巨人との人類存亡を懸けた戦いを体験していく。まずは、基本事項として戦いかたの基礎を紹介しよう。本作のポイントでもある戦闘場面は、緊張感やスピード感、空間を縦横無尽に駆け巡るダイナミックさといった原作アニメの描写を、ゲームシステムにうまく落とし込んで再現したものだ。身体と連結したワイヤーを射出して高速移動を行う“立体機動装置”で、巨人に近寄り、装備した武器で巨人の弱点となる“うなじ”を斬りつけていくのが攻撃の基本。
Yボタンでターゲットをロックオンして攻撃ボタン(Xボタン)を押すと、敵を目掛けて急接近する。接近中は、タイミングを表す円形マークが画面中央に向かって収束を始める。ここで任意のタイミングでXボタンを押すと攻撃アクションとなり、赤色のエリアと重なったタイミングならば強烈な攻撃がくり出せる。巨人への攻撃はそのくり返しでダメージを継続的に与えていくというものだ。
手際とタイミングが命というバトルシステムは、原作アニメどおりの緊張感溢れる体験を導いてくれる。トドメの一撃の直前や、仲間が巨人に捕獲されてしまったというピンチでは、カメラの構図やモーションがダイナミックに切り替わり、さながらリアルタイムでアニメの世界を体験しているかのようだ。
本作では、“壁に張り付く”、“壁づたいに高速ダッシュ”といった新アクションも加わり、行動の自由度がさらにアップしている。ともに原作アニメに登場する、“あるある”といったモーションだけにこのコダワリの再現はうれしいところ。また、巨人のアクションも、座りながら手を振り払うなど、多彩になっていっそう手強くなっている印象を受けた。
●前作のDLCシナリオも収録“ストーリーモード” ストーリーモードは、テレビアニメ版のストーリーを登場キャラクターになりきって追体験するというもの。第104期訓練兵団出身のエレン、ミカサ、アルミンのエピソードがあり、各話ごとに導入のアニメパートと、ハイライトを体験するゲームパートを楽しむという構成になっている。前作ではDLCだったリヴァイとサシャのエピソードが、本作ではすでに収録されている(ただし、開放されるまでにはある程度ストーリーを進めなくてはならない)。ずば抜けた腕を持ち冷徹な調査兵団の兵士長と、第104期訓練兵の中でコメディーリリーフ的な役割の兵士……ともに強烈な個性の持ち主だが、シナリオもミカサたちとはひと味違うユニークなルールのゲームが楽しめるのだ(食べ物にちなむものなど)。
ほかにも既存キャラクターのボイスの追加収録やビジュアル強化がなされていたりと、新規の兵士も大量追加されたりとボリューム感がアップ。アニメの世界をこれまで以上にゲームに取り入れた点も本作の魅力のひとつとなっている。
●待望のWi-Fi通信対応で、全国の仲間と出撃!“ワールドモード” ストーリーモードと並ぶ本作のもうひとつの主要モード、“ワールドモード”。これは、いち兵士として活躍するオリジナルキャラクターを作成して、さまざまなミッションに挑むというものだ。結果によって団員数の増減などがあり、能力や装備品の強化が行えるので、キャラクターを育成する楽しみもある。
そして本作では、かねてから要望の多かったというWi-Fi通信による協力プレイに対応! 従来は近くの人としかできなかったマルチプレイの楽しさが大きく拡張している。このモードでは、領地内の活動となる“通常ミッション”、壁外の偵察を主とした“調査ミッション”のふたつのカテゴリーからプレイしたいミッションを選択する。後者は難度が高い分、獲得できる経験値が多いのがミソ。Wi-Fi通信でのプレイはいずれのミッションにも対応しているので、ひとりではクリアー困難な難しいミッションこそ全国の仲間の力が大きな頼りとなる。
原作がそうであるように、基本的に巨人と戦いは仲間との協力が不可欠となる。マルチプレイでは、ひとりが巨人の足を崩して、直後にもうひとりがその首をターゲットに斬りにいく……というように“共闘する”感覚が共有できることにこそ楽しさがある。前述したバトルシステムと相まったプレイは、マルチで挑んでこそ高まる。Wi-Fi通信の対応で、それがつねに気軽に体験できるのはうれしい限り! ロビーやミッション中には定型文による簡易チャットやチャットボイス機能も搭載されているので、活用すれば全国の見知らぬプレイヤーとの仲間感覚はいっそう高まるハズだ。
また、オンラインランキングにも対応し、討伐数、討伐補佐数、連続クリティカル数といった腕前も競えるようになった。この世界の登場人物は、いずれも己の腕を頼りにして巨人に挑む者たちだ。オーソドックスな機能ではあるものの、戦いのモチベーションや原作世界のムードを高める効果に大きく寄与している点も見逃せない。
新たにサバイバルモードも追加された。これは通常ミッションや調査ミッションとは異なり、クリアー目的が設定されていない特殊なゲームモードだ。ルールは、体力が尽きるまでに巨人を何体倒すことができるかという生き残りバトルだ。このモードこそ、兵としての実力が問われる場。1体の巨人を倒すのに、時間をかけるような戦いかたでは決して生き残ることはできないぞ。
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▲新武器(写真は軽量銃を持ちながら立体機動で移動している)や、ユニークな新ミッションの追加もある。 |
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▲キャラクターのステータスは成長ポイントを割り振ることで強化が可能。工房では素材を集めることで、武器や立体機動装置の強化、開発もできる。戦うほどに強さを実感できるぞ。 |
ひと通りプレイして感じたのは、原作アニメの要素や巨人との戦いを、より“体感”するための強化が図られたという印象だ。“アクションゲームの爽快感と、兵士たちのドラマを綿密にリンクさせる”というテーマを突き詰めたともいえよう。『進撃の巨人』のストーリーや貴重な資料もギッシリ詰まっているので、アニメやコミックの熱心なファンはもちろんだが、入門者にもオススメできる内容だ。本作をきっかけに“進撃の巨人ワールド”に初めて触れるという楽しみかたもアリ!