切換到窄版
欲罷不能的苦行者
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今ではすっかり定番ジャンルとなっているRPGだが、それだけに何か差別化を図らないと、なかなか目立たないという難点がある。そのためには、他とは違う「何か特別な部分」が求められるわけだが、6月12日に発売される『世界はあたしでまわってる』は、主人公がワガママなお姫様という、普通に考えたら「えええっ!?」と叫んでしまいたくなるような設定になっているのだ。そんな彼女のワガママっぷりがよくわかるストーリーを、まずはチェックしていこう。■ワガママを実現させるために、姫はワガママな旅に出る……? 主人公は、貴族のお嬢様“アンジェラ”。かわいくてお金持ちで、まるでお姫様のように育った15歳の少女。何でも自分の望むままに手に入れてきた“アンジェラ”が今欲しいのは、自分にふさわしい理想通りの完璧な恋人だった。そんなある日、舞踏会で素敵な冒険者と運命の出会いを果たす。 「やっぱり神様って、あたしのためにいるのね♪」彼に一目惚れしてしまった少女だが、彼に「冒険者の私についてきたいとおっしゃるなら、まずはその長い髪をどうにかなさい。上品なだけのドレスも脱ぎ捨てて、防具に着替えるんだ。戦いの経験を積み、一人前と言われるようになったら、またお会いしましょう。……では失礼します」と言い放たれてしまう。運命の出会いのはずなのに、思い通りにならなくて慌てるアンジェラ。 そして翌日、長かった髪の毛をばっさりと切り落とし、ドレスを脱ぎ捨てて防具を身につけた少女は、父親に言い放つ。「あたし、冒険の旅に出る、一人前になるまで帰らないから!」こうして、史上最強のワガママ姫による、自己中心的な冒険が始まった……。 ■まずはクエストの受注から 主人公の名前はデフォルトで“アンジェラ”になっているが、これは任意に変更が可能。好きな人でも、愛するあのキャラでも、萌える名前を付けたらゲームスタートだ。すると、街で「ワーネコ退治」なるクエストを町長から押しつけられる。隣街へ行くには鍵のかかった扉を通らなければならないのだが、クエストをクリアしないと町長が鍵を渡してくれない。ということで、まずは「お小遣いにもならない所持金(オープニングストーリーより)」を使い、弓矢と盾という最低限の装備品を購入。それにしても、なぜこの主人公は大金を持って旅に出なかったのか? お金持ちだったクセに……と、ぶつくさ文句を言っても始まらないので、買った弓と盾を装備して、街の外へと旅立つ。 丸腰ではないものの、初期状態の装備では不安がある。武器屋に入り、所持金をはたいて買えるだけの装備品を購入してみた。 フィールドに出ると、上画面に広域地図が、下画面に今いる地点の風景が表示される。マップを移動後にAボタンを押すと、現在地点を探索する。アイテムが落ちていれば拾うことができ、魔物がいると戦闘開始だ。といっても、ほとんどの場合は戦いになるので、HPが少ない時などはむやみに探さない方が安全だ。危ないと思ったら、Lボタンで使えるリターンの魔法を唱えて、さっさと街に帰るといいだろう。消費MPが0なので、ボロボロの状態でも帰れるのがありがたかった。しかも、街の宿屋は素泊まりならタダ! まるで、某有名RPGで「馬小屋」に泊まっているようなもの。なので、最初のうちは頻繁に街に帰ってきて体力を回復し、万全の態勢を整えておくといいだろう。 上画面にマップが表示されるので、迷うことはない。ピンチになったら、リターンの魔法で一発帰宅。 ■戦闘ルールは簡単で、誰でも楽しめる。もちろん、ワガママあり! なお、戦闘はターン式のコマンドバトル。敵味方ともに、素早さの高い順にアクションが起こせるのだが、ワガママお姫様は戦闘開始前に「ワガママコマンド」が入力できるのだ。これは、「ワガママポイント(WP)」を消費し「あたしが先よ(必ず先制攻撃)」や「あんたらじゃまよ(敵が逃げる)」を選べば、敵がその通りに行動するというもの。「ワガママコマンド」は戦闘に入ってからも使え、そこには敵の行動を封じてしまうような、すごいワガママも。もちろん、ワガママの度合いが大きい(?)ほど、大量の「WP」を消費する。しかも、ワガママお嬢様とはいえ、最初の「WP」は0! レベルを上げないことには「WP」もアップしないので、しばらくは庶民の冒険者の気分で旅を進めることになるのだ。 戦闘シーンはオーソドックスなコマンド選択式。最初は敵の方が素早いので、プレイヤー側が後攻になることが多い。 とりあえずマップ中をくまなく歩き回ってレベルを上げ、もう十分と思ったところで、早速森へ移動してワーネコ退治……と思ったら、イベントが発生してフクロウに「WP」をもらってしまった。また戦闘だけでなく、マップの地形も好きなように変えられるとという情報もゲット。ここまで来ると、ワガママというよりは神様っぽいような(笑)。とりあえず、もらった「WP」を使って地形を森に変え、難なく5匹のワーネコを退治。街に戻ると、町長が鍵を渡してくれたので、これを使ってようやく隣町へと移動できた。 「WP」を使えば地形を違うものに変えたり、戦闘開始時に先手を取ったりと、かなり好き放題ができる。宿屋で寝れば回復するので、惜しみなく使おう。 ■クエストをクリアしていくうちに姫も強くなり、ワガママもパワーアップ…… 意外にあっさりクエストをクリアできたなと思ったら、またも移動先の街で魔物退治を頼まれてしまう。今度も、例によって倒さないと鍵を渡してくれないとのこと。軽くこなしてしまおうと思いきや、前のマップと違い敵が強い! ここからが本当のスタート、ということのようだ。 隣の街でもクエストを頼まれる。ワガママを言いながらも引き受けるあたりが、憎めないところ。 しかし、ワガママポイントもそれなりに多くなっているので、これを上手に使いながら戦闘を繰り返していけば、それほど苦労せずに倒せる。なるほど、ワガママを使うことでバランスが取れるようになっていることに思わず感心。しかも、主人公が飼っていたオウムが途中で仲間になり、敵が唱えた呪文を聞いて覚えてくれるので、魔法使いの代わりになってくれるのだ。こうして次の街でもクエストをクリアし、ワガママ姫様はさらにワガママになって先へと進んでいく……。 オウムが仲間になると、戦闘中に呪文が使えるようになる。ただし、相手が魔法を唱えないとオウムは呪文を覚えられないので、何度かダメージを受ける必要がある。 ■イロモノタイトルに見えるが、実はRPG初心者でも手を出しやすい難易度 シナリオやタイトルなど他とは違う部分が目立つため、マニア向けのタイトルと思う人もいるかもしれないが、プレイしてみると実は比較的低い難易度で作られているRPGだということがよくわかった。といっても、目をつむってボタンを連打しているだけで勝てるほど、戦闘が簡単というわけではない。宿屋で泊まっての回復がタダだったり、お金に若干余裕があるなど、RPG初心者が序盤で挫折してしまう要素が極力省かれているのだ。 宿屋の宿泊料はタダ。食事は有料だが、食べるとパラメータがアップする、文字通り美味しいものばかり。 世の中には、「シビアなRPGほど楽しい」という人もいるかもしれないが、ユルく軽く楽しめるRPGを欲している人もいるだろう。本作は、そんなニーズにマッチしたタイトルと感じた。重い大作RPGは壮大で楽しいかもしれないが、時には本作のようなお手軽RPGもよいのではないだろうか。(佐々木潤) (C)2008 Global A Entertainment, Inc. All rights reserved.
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