中国のゲームファンに日本ファルコム作品は根強い人気 2015年7月30日~8月2日、中国・上海の上海新国際博覧中心にて、アジア屈指の規模を誇るゲームイベントChinaJoy 2015が開催。会期3日目にあたる8月1日には、ソニー・コンピュータエンタテインメントブースにて、日本ファルコムの『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution』をモチーフにしたステージイベントが行われた。中国において、日本ファルコムのRPGの人気が高いことはつとにおなじみ。そのことを証明するかのように、壇上に代表取締役社長の近藤季洋氏が登壇するや大きな歓声が。
近藤氏は、「飛行機から降りたときに上海は暑いと思いましたが、会場の熱気のほうがもっとすごかったです」とChinaJoyの熱気に感動しつつ、「今日はたくさんお伝えしたいことがあります」とコメント。まずは改めてという形で、中国のゲームファンに向けて日本ファルコムの歴史を紹介。1981年に創業された日本ファルコム転機になった作品が『ザナドゥ』(1985年)であることや、ストーリーを大切にしたいという思いからスタートした『英雄伝説』シリーズ(1989年~)、さらには、当時『英雄伝説』が好きで日本ファルコムに入社したスタッフが作り上げた『軌跡』シリーズ(2004年~)と続くことを明らかにしてくれた。
一方で、もうひとつの看板シリーズとして、近藤氏は『イース』シリーズを挙げ、「国内よりもむしろ海外で人気があります」としたうえで、『イース』シリーズが、主人公アドルの冒険を100冊にした1冊1冊が描かれているのだと説明してくれた。つまり、『イース』は現在7冊目であり、「93作以上続くことになっています」と近藤氏。プレイステーション Vitaおよびプレイステーション4で展開予定のシリーズ最新作の開発は順調に進んでいるという。
司会者から「入社のきっかけは?」と問われた近藤氏は、大学のときに『英雄伝説III 白い魔女』に出会ってから、日本ファルコムの大ファンになったと説明。その後ファンサイトを立ち上げ、さまざまな方々と交流するうちに、「日本ファルコムに入りたくなった」のだという。そんな氏が初めてプロデュースしたタイトルが『英雄伝説 空の軌跡 FC』(2004年)。以降、昨年10周年を迎え、これまでに8作品をリリースするほどの人気シリーズになっている。ゼムリア大陸というひとつの舞台をモチーフに、これまで長きにわたってシリーズが継続することは極めて稀なことだが、「いったいいつまで続くのか?」とユーザーから聞かれることがあると、近藤氏は明かしたうえで、近藤氏は改めて「今後、ゼムリア大陸は、これくらいきっちりと描けばいけるだろう」ということをじっくりと検証。結果として、『英雄伝説 閃の軌跡II』の段階で、全体の6割くらいだと割り出したという。“終わり”という言葉を聞いて、会場からは期せずして残念そうな声が漏れたが、好きなシリーズはずっと継続してほしいというのが、やはり中国のゲームファンの本音だったろう。「長くお付き合いいただきたいシリーズです」と近藤氏。
続いて近藤氏は、最新作『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution』の説明に。11年ぶりに蘇る同作が、ビジュアル面も強化して視覚的にも楽しめることや、キャラが喋るカットインもすべて書き直していることなどを説明。たとえば、主人公のエステルは表情豊かなので、130パターンのカットインがあるらしいのだが、すべて一新したという。また、「セリフ量が多いので不可能」と言われていたというフルボイス化も実現。エステルのセリフを集めたシナリオだけでも、段ボール箱に収まりきらないボリュームになったという。声優さんの苦労が忍ばれるところではある。本作では、サブキャラなどにも音声がついており、起用した声優さんは100人(!)以上というから驚きだ。エフェクトなどにも注力しており、「物語の没入感を高めるための仕掛けを随所に施している」(近藤氏)という。
また、システム面での新要素として、戦闘を自動モードにできることや、セリフを自動的に進められる“オートモード”が搭載されていることも説明された。ちなみにこの“オートモード”。「『軌跡』シリーズのスタッフが、つぎのシリーズに入れたい」と思ったほどだそうだ。
会場では、近藤氏の口から改めて、この『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution』と、『イース セルセタの樹海』が簡体字化されることが発表され、中国のゲームファンを喜ばせた。と、余韻に浸る暇もあらばこそ、この場でプレイステーション Vita版『英雄伝説 閃の軌跡』の簡体字版が開発中であることが初発表! ファンからこの日いちばんの歓声が湧き上がった。「簡体字化してお届けできるのがうれしいです。1秒でも早くお届けすべく開発を進めています。シリーズ最大のボリュームなので、楽しみにしていてください」とのこと。さらに、現状3タイトルの簡体字化を予定しているが、中国のユーザーの反響次第では、今後も続々と簡体字化の検討をしていきたい旨を示唆。中国市場に向けて、積極的に取り組む姿勢であることを明確にした。日本RPGの代表格の1社として、これから日本ファルコムが、ますます中国市場で存在感を高めそうだ。
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▲イベントの最後には、クイズに答えると豪華景品があたるプレゼントコーナーなどが実施。答える権利を与えてほしいということで、会場は熱狂。 |
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▲ファン代表として、写真撮影のために登壇した皆さん。こちらも選んでもらおうということで、大盛り上がりだった。 |
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▲プレゼントをもらったユーザーさんが近藤氏とハグしたり、サインを求めたり……。さすがの人気です。 |