本記事では、さっそく体験したプレイレビューをお届け。と言っても、ゲーム自体はすべてリリース済みのものということもあり、どちらかというと機能面をフィーチャーしてレビューしていく。と、その前に、まずは配信されるゲームパックについておさらいしよう。
配信ゲームパックについて 『カプコンアーケードスタジアム』で購入できるゲームパックは以下の通り。2タイトルを除き、おおまかに3つのゲームパックに分かれている。また、3つのゲームパックをセットで購入することも可能。セット購入すると、単体配信される『魔界村』が特典としてゲットできる仕組みだ。 ■無料タイトル
■単体配信、または特典タイトル
■Capcom Arcade Stadium Pack (1) すべてはここからはじまった!
■Capcom Arcade Stadium Pack (2) アーケード絶頂期!
■Capcom Arcade Stadium Pack (3) アーケードはさらなるステージへ!
収録タイトルについての補足 ゲームパック(1)に収録されている『BIONIC COMMANDO』は日本版旧タイトル名は『トップシークレット』、『フォゴットンワールド』の日本版旧タイトル名は『ロストワールド』。どちらも海外版の名前であり、『カプコンアーケードスタジアム』ではこちらのバージョンのみの収録となっている。 『ストリートファイターII - The World Warrior -』などのふたりで遊べるゲームはもちろんのこと、『キャプテンコマンドー』などの最大4人、『天地を喰らうII - 赤壁の戦い -』などの最大3人で遊べるゲームも、コントーラーを用意すればローカルマルチプレイに対応している。
当時のゲーセンを彷彿とさせるメニュー画面 ゲームセンターの筐体(正確に言うと、カプコンが当時販売していたインプレス筐体。なおデフォルト設定のお話)が立ち並ぶメニュー画面では、収録タイトルを自由に選択できる。全タイトルを閲覧して選べるほか、アクションやシューティングなど、ジャンルでのソートも可能。また、自分でタイトルをお気に入り登録しておけば、お気に入りリストから選ぶこともできる。
ゲーム選択の裏では各筐体のデモ画面が流れており、筐体が立ち並ぶ昔なつかしいゲームセンターの雰囲気を味わえるのも魅力のひとつ。
ちなみに、このメニュー画面でBボタンを押すと、筐体がズラリと並ぶ画面を見ることが可能。筐体前のイスの種類が不揃いというのも、なんだかゲームセンターチックでニヤリとする要素。筐体の上部にある電光掲示板には、スコアランキングが表示される機能もある。
各タイトルを選ぶ際に-ボタンを押すと、ゲームを日本版と海外版に変更することが可能だ。基本的な部分に違いはないものの、おおまかに言えば海外版のほうがデフォルトの難度が高めな傾向。
また、たとえば『アレスの翼』の日本版は1Pキャラクターが女性のミシェルなのだが、海外版は日本版の2Pキャラクターのケビンが、1Pキャラクターに変わっていたりする。そういった違いを楽しめるのも本作の魅力だろう。
-ボタンを押すと……
瞬時に海外版へチェンジ
やり込むほどワクワクする独自の要素 本作には独自にアチーブメント機能が用意されており、条件を満たすことでアーチブメントを解除できる。アチーブメントはゲームごとに用意されているというわけではなく、『カプコンアーケードスタジアム』全体を通してのもの。
条件はさまざまで、“ゲームをプレイする”といったカンタンなものから、“ゲームをクリアーする”、“9回以上クレジットを入れる”などの全30種。やり込めばやり込むほどに解除されていく要素が、ゲーマー心くすぐってくれる。
また、ゲームプレイを重ねていくと“CASPO”というポイントが溜まっていき、プレイヤーランクが上昇。自身がどれだけ本作をやり込んだのかがひと目で分かる指標のひとつになるほか、クラスが上がっていけば特典アイテムもゲットできる(詳細は後述)。
充実のマニュアル要素 ゲームごとに専用のゲームマニュアルが用意されており、ゲームの基本システムから操作方法を教えてくれる。また、パワーアップアイテムなどがゲームにある場合は、画像付きで解説してくれるのがなんともうれしいポイント。
ベルトスクロールアクションなどの場合はキャラクターのコマンドだけでなくプロフィールまでイラスト付きで用意されている充実ぶり。対戦格闘ゲームの場合は、専用のコマンドリストメニューが用意されている。さらに、ゲームによっては攻略アドバイス付き、または隠しキャラクターの出しかたを教えてくれるなんてことも。……隠されていたりもするが(笑)。
『サイバーボッツ』は教えてくれるが……
『スパIIX』は教えてくれない……。おそらく茶色いリュウのことだろう。
また、ゲーム中のポーズ画面では、いわゆるインストカードのような簡易操作マニュアルも表示できる。長いマニュアルを読まずとも、サクッと操作方法を確認できるのもうれしいところだ。
選べるゲーム画面がユニーク! 前置きが長くなってしまったが、ようはカプコンのアーケードゲームがたっぷり遊べるのが『カプコンアーケードスタジアム』である。ゲームプレイに必要なクレジット(ようは100円)は無限に用意されているので、気軽に遊んでみよう。
タイトルを選んだら、Rスティックボタンを押してクレジット投入! -ボタンでゲームをスタートしよう(+ボタンではないので注意)。
コインを入れて-ボタンでスタートすると……
画面がグイッとこちら側にアップ
画像を見て「ん?」と思った人もいるかもしれないが、そう、このミディタイプ筐体にまるで座ったかのような画面が、『カプコンアーケードスタジアム』のデフォルトゲーム画面なのだ。これが先入観で遊びにくいかと思いきや、雰囲気満点で、なんだか楽しい!
しかもRスティックを倒した方向に視点が動いて、隣の筐体を覗けたりしちゃうのだ(ありましたよね? 隣のゲーム画面のデモ眺めたりとか)。また、Rスティックを下に倒すと、レバーとボタンがちゃんと反応して動いているこだわりぶり!
プレイ中もRスティックでコントロールパネルを見渡せる(しかもスティックやボタンが動いてる!)
隣の筐体をチラチラなんてことも可能。
さらにディスプレイ設定を変えれば、海外のアーケードゲームでは主流だったアップライト筐体にしたり、カプコンが販売していたステイタス筐体、ミニキュート筐体にも設定可能とこだわりがスゴイ。
海外では主流のアップライト筐体。いわゆる“ナスレバー”。
もちろんゲーム画面のみにすることも可能で、その場合は壁紙なども設定できるほか、ブラウン管を見ているかのようなフィルターをかけるといった機能もある。壁紙などのディスプレイ設定は、先述したCASPOを溜めて、ランクを上げるとさらに追加で開放されていく。
なお、以降に掲載するゲーム画面についてはゲーム画面が小さくなってしまうことから、基本的にゲーム画面&壁紙のみの画面でお届けする。
壁紙をつけるとこんな感じ。
ちなみにディスプレイ設定の筐体はメニュー画面にも反映される。
便利すぎる! 多種多様な機能! これまで紹介してきた機能は、あくまでゲームの外側の部分。本作にはゲームの内容に関わる目玉機能も満載なので、それらも解説していこう。
ゲーム設定 本来、ゲーム基板を所持しているマニアックな方や、ゲームセンター側でしか設定できなかったアーケードゲームの設定も、自由に変更可能。たとえばゲームの難易度や残機数、1UP(エクステンド)するスコアや比率などが変更可能だ。
また、ゲームごとに細かな設定がある場合もあり、たとえば『スーパーストリートファイターII X - Grand Master Challenge -』はゲームスピードをゲーム側で変更できるようにするか、固定にするかといった、アーケード版にもあった機能もバッチリ用意されている。
ボタン設定&連射機能 コントローラーのボタン配置は、設定から自由に変更できる。ゲームスタート後、ゲームメニューからコントローラーセッティングを選択して、好みのボタン配置にしよう。
また、シューティングやベルトスクロールアクションには連射ボタンが用意されているのもうれしいポイント。対戦格闘ゲームの場合は“弱+中+強パンチ”の同時押しボタン設定などが用意されている場合もある。
ステートセーブ機能 ゲーム中に、いつでもセーブ&ロードが可能な、ステートセーブに機能に対応している。遊んでいる最中に中断したくなったら、セーブしておけばいつでも続きから遊べるというわけ。
また、難しいステージに直面したらセーブしておく、という保険としての使いかたもアリ。さらに、ワンコインクリアー(コンティニューせずにゲームをクリアーする目標のひとつ)を目指す人などは、ステージごとにセーブしておくことで、苦手なステージだけをとことん練習するなどといった使い道もあるだろう。
用意されたセーブスロットは各ゲームごとではなく、全ゲーム通して全32スロット。もし32タイトル所持し、1ゲームに1個使ってしまうと埋まってしまうので、使いどころを見極めて活用しよう。
巻き戻し機能 本作にはすべてのゲームでリワインド機能という、時間を巻き戻す機能が搭載されている。ZRボタンを押すと、約30秒間前までの好きなタイミングまで時間を巻き戻せる。
たとえば敵弾に当たってしまった、落とし穴に落ちてしまった、なんていうミスを、時間を巻き戻せばなかったことにできるわけ。サクサクステージを攻略していきたい人にはうってつけの機能だろう。もちろん、正々堂々と挑みたい人は使わなければオーケー。
あっ、落ちちゃった! なんてときもご安心を。
「時を戻そう」
ってな感じで時を遡り、ミスが無かったことに……。スタ〇ド攻撃を受けているッッ!
ゲームスピード変更機能 本作では全タイトルでゲームスピードの変更が可能で、最遅(1)・遅(2)・標準(3)・速(4)・最速(5)という5速のスピードでゲームを楽しむことができる。
ゲームスピードを遅くすれば、苦手なステージの攻略をじっくりと練習できるだろう。逆に速くすれば、常人では追い付かないほどのスピードで攻略していく、いわゆる“魅せプレイ”もできるはず。また、カットできないデモシーンなどを飛ばすのにも使えるかも。
ゲームスピードはゲーム中にリアルタイムに変更可能(デフォルトだとZLボタンをチョイ押しで1速ずつ順番に切り換わる)。赤は高速モード。
青は低速モード。
ZLボタン長押しで、どの速度からでも3速の標準スピードに戻る。
ちなみに、『ストリートファイターII' TURBO - HYPER FIGHTING -』はゲーム名に“ターボ”が付いてるほどにゲームスピードが早い。それをさらに、最速のゲームスピードで遊べる。操作が追い付かないほどに素早い対戦格闘ゲームになり、パーティーゲーム感覚で対戦が楽しめるのでオススメ!
なお、ゲームスピードを変更すると音声も速くなったり遅くなったりする。たとえば『ファイナルファイト』の「デヤァーッ!」という掛け声も、遅くすれば「デ゛ェ゛ヤ゛ァ゛ァ゛ァ゛」と再生されたりして笑えるので、こちらも必聴(笑)。
絶対燃える! オンラインランキング機能 通常プレイのほかにも、オンラインランキング機能に対応したふたつのゲームモードが用意されている。
ひとつはスコアアタック、またはタイムアタック(ゲームごとに競うのが得点かタイムか異なる)。プレイは1クレジットのみで、難易度などのゲームセッティングは変更不可。上記の巻き戻し機能などは使用できない、いわばゲームセンターと同じ条件でランキングに挑めるというもの。
もうひとつが、スペシャルチャレンジというモードで、端的に言えば期間限定でのイベントモードといった感じ。期間中でのみランキングを競えるだけでなく、場合によっては普段は設定できないような特定条件が課されている場合もある。
すべて手に入れれば32タイトル遊べる本作だが、1パックだけ購入するなどして、ひとつのタイトルをとことんやり込み、ランキング1位を目指すといった遊びかたもアリだろう。
試しに遊んでみた『1943 - ミッドウェイ海戦 -』のスペシャルチャレンジは、なんと画面の上下が逆さまになった、下スクロール型シューティングに! なお、操作の反転はなかったのでご安心を。
個人的な注目タイトル 以上が『カプコンアーケードスタジアム』のおもな特徴。続いては、筆者が個人的に注目しているタイトルをピックアップしてご紹介。全タイトルもちろん大好きです。
19XX - The War Against Destiny - きたきたきたきた! カプコンの『19』シリーズと言われている中でも、筆者が最も好きなのが『19XX - The War Against Destiny -』。いやシューティングゲーム史上でも、トップに入るくらいお気に入り。今回なんと初移植! 見た目はまあ戦闘機系のシューティングなので一見地味なのですが、溜め撃ちでロックオンしてから弾を撃つとミサイルがビュンビュン飛ぶ“マーカーミサイル”というシステムがメチャクチャに爽快かつ、攻略の楽しさが味わえるシステムのなっている。
BGMも超カッコいいので、興味のない人もまずプレイしてほしい1本! 難度はシューティングゲームの中では比較的カンタンな部類。ただしステージ後半は骨太なのでやり応えもバツグン!
ギガウィング ドリームキャスト以来の移植となる『ギガウィング』。自機にバリアーを張る“リフレクトフォース”というシステムが特徴的で、完全無敵になりながら敵弾を跳ね返せる。
そして跳ね返した弾を敵に当てると、出るわ出るわのスコアアイテム! スコア億越えは当たり前の超絶怒涛のスコア稼ぎが熱いシューティングゲームなのだ。縦スクロールシューティングでありながら、横長画面なので、慣れるまでちょっとコツがいるかも。
フォゴットンワールド プレイステーション2以来の移植となる『フォゴットンワールド』。アーケード版では、超独特な回転式コントロールパネル“ローリングスイッチ”を使用して遊ぶゲームだったが、プレイステーション2版同様に、Nintendo Switch向けに操作方法がアレンジが施されている。
LボタンとRボタン(またはRスティック)で自機を回転させ、360度にショットが撃てるのが本作の特徴。また、自機の周囲にサテライトというオプションがあり、こちらはショット中は自転、ショットしていないと公転するという仕様。これがコントローラー操作だとなかなかコツがいる。慣れないうちはサテライトは無視して戦うといいかも。
天地を喰らう PCエンジン以来の家庭用移植となる『天地を喰らう』。本宮ひろ志先生による、三国志を題材とした同名のマンガを原作としたアクションゲームだ。
馬に乗った武将たちを操作しながら、槍などで黄巾賊や董卓軍を倒していくシンプルなシステムながらも、難度は高めでやり応えアリ。RPG版や、ベルトスクロールアクションとなった『天地を喰らうII - 赤壁の戦い -』のほうが知られているかもしれないが、今回を機会にぜひ遊んでほしい。当時のカプコンスタッフによるボイスも個人的には味わい深い。うりゃりゃりゃりゃ!
サイバーボッツ - FULLMETAL MADNESS - プレイステーション、セガサターン以来の移植であり、2011年のゲームアーカイブス以来の配信となる『サイバーボッツ - FULLMETAL MADNESS -』。『パワードギア - STRATEGIC VARIANT ARMOR EQUIPMENT -』の世界観を汲んだ対戦格闘ゲームで、巨大なロボットたちがド派手に殴り合う。
とくにブーストボタンを使用した超ハイスピードな攻防が特徴で、使用する機体によって空中ダッシュや多段ジャンプ、はたまた空中浮遊などの個性的な行動を取ることも可能。必殺技はどの機体もある程度シンプルで出しやすく、見た目とは裏腹に格ゲー初心者にもオススメな1本。
無料なんだからとりあえずDL! 最後にまとめると、カプコンはこれまでも、こういったアーケードゲームの移植作品の詰め合わせを発売してきたが、ここまで多機能なのはこれが初めて。細かな部分の遊び心も満載で、遊んでいて気持ちのいいコレクションタイトルとなっていた。残念ながらオンライン対戦や協力プレイには対応していないが、これだけ収録タイトルがあれば致し方なし。
さらに、『カプコンアーケードスタジアム』自体は無料というのがミソ。『1943 - ミッドウェイ海戦 -』もそのまま遊べちゃうのだから、かなりお得。気になった人はもちろんのこと、とりあえずゲームを遊んでみたければダウンロードして損はナシ!
メニューから見られるスペシャルクレジットは、つい涙が出るような特別な映像となっている。ぜひチェックを。
ゲームパック販売方式というのもワクワクさせてくれる仕様。今回3パックが発売されたが、もしかしたら好評を受けて追加のゲームパックが発売される……なんてこともあるかもしれない。もちろんこれは筆者の憶測というか、希望である。エイリアンと戦うアレとか、犯罪者たちを無慈悲に倒すアレ……などなど「待ってました!」なタイトルもありえるかもしれない。いやというか、出してカプコンさん!! 許可してマー〇ル!! あとマッスルなプロレス2作とか……!(止まらない)。